Kポップアイドル人気から、今セクシーを考える
  • Posted by sachiko takemura
  • 2011.12.05
  • Column

Kポップアイドルが流行っている。今更何を…と思われるかもしれないが、最近私の周りの意外な人物までが「グンソクさま〜」と言い出した。「軍足さま?」などと、5本指靴下に何故「さま」を付けるのか?と思うくらい疎かった私だが、気付くと中高生から70代の高齢者まで、意外にはまってる人が多いのである。どこがいいのか尋ねると、単にかっこいいという返事の他に「身体がいい」とか「セクシー」という声が聞こえてくる。ふむ…早速チェックしてみた。

全てという訳ではないが、「東方神起」や「2PM」など確かに男らしいセクシーさを感じる。決してイケメンという訳ではないが、近頃の日本男性にはあまり見られない体幹がしっかりとした印象で力強さがあり格好良く見えるのだ。「少女時代」や「KARA」の後、続々と登場してくるガールズグループもセクシーを売りにしているものが多い。なぜ今韓流セクシーが受けているのだろう?

男女ともに身体を誇示するセクシーさがもてはやされたのは80年代。「よく働き、よく遊べ」をモットーに、仕事で成功し稼いだお金で高級フィットネスクラブの会員となり、身体を鍛えることがトレンドだった。鍛え上げた身体を強調する厚い肩パッドのパワースーツを着用し、男性は女性のように外見を意識し、女性には身体の線があらわになるアライアが代表するボディコンの服(画像①)が大ブームになる。

映画「アメリカンジゴロ」で、リチャードギアはセクシーな売れっ子ジゴロとしてアルマーニを着こなし、アルマーニ人気を押し上げた。自宅の天井からぶら下がり身体を鍛えているシーンで肉体美を見せつけている(画像②③)。「フラッシュダンス」ではジェニファービールスが女性の鍛え上げられた身体の魅力を発揮し、フィットネス熱を掻立てた(画像④)。シンディクロフォードやクラウディアシーファー、ナオミキャンベル、クリスティターリントンなどのスーパーモデル達(画像⑤)が完璧なボディでもてはやされ、80年代のアイコンであるマドンナは90年の「ブロンド•アンビション•ツアー」でゴルチェの円錐形のブラトップがついたボディースーツを着てセクシーさと力強さをアピールした(画像⑥)。

この肉体美を誇示する風潮は日本ではバブルが弾けた後の90年代前半に打ち上げ花火のフィナーレのような最後の勢いを見せる。ディスコ「ジュリアナ東京」(画像⑦)で女性達は下から見えるのもおかまいなしに下着が着けられないほどカットアウトしたボディコンの超ミニワンピでお立ち台にのぼってジュリ扇を振り、見せることを楽しんだ。少し後には「J-Men’s Tokyo」(画像⑧イメージ)が大きな話題となる。イケメンで筋肉質な欧米人男性のストリップへ、ビキニパンツにお札をはさもうと女性達が詰め掛けたのだ。この時代、身体を見せつけ、性をあらわにすることは何のてらいもない普通の感覚だったのだ。

同じ頃、世界のファッションシーンではスーパーモデルの完璧な肉体美からウェイフ(浮浪児)モデルと呼ばれるガリガリの男の子のようなモデルへと美の基準が移っていた。超高額なスーパーモデルのギャラに業界が辟易したことが原因と言われるが、新鮮な時代の顔が求められたことに変わりない。代表的なのはケイトモス(画像⑨)、ステラテナント(画像⑩)、ジェニー清水(画像⑪)など。湾岸戦争などから経済危機を迎え、ファッションがシンプルでベーシックなミニマル傾向に向かったため、ハンガーのような痩せた身体がより一層服を引き立てる効果を生んだ。その後のだらしない、古着のような汚い印象のグランジルック(画像⑫)にも浮浪児のような容貌はベストマッチだったのだ。

94年頃からファッションは過去のスタイルを再生する傾向に入り、全体の大きなトレンドが現れにくくなる。色々なスタイルの中から各人のライフスタイルや好みにあったものをチョイスする自己表現時代になっていくが、男性の外見を気にする傾向、女性の痩身志向は残っていく。

男性では90年代初頭のミニマル傾向でスクエアな細身のジャケット、細いラペル、細い黒タイが人気となり、96年頃からラフシモンズがそのスタイルに合う細くて中性的なモデルを起用し始め、絶大な人気があった05年頃のエディスリマンのディオールオム(画像⑬)へとつながっていく。日本では90年代後半から盛り髪に細身タイトな服を着た「フェミ男」達が街を闊歩し始める。細身でタイトで中性的というのが定着し、06年には草食男子という言葉が使われ出し、男らしさを誇示するものからかけ離れていく。

強迫観念的な痩身志向でダイエットを意識し続けた女性達は徐々に等身大の自分を受け入れ出す。日本では無理をしなくても愛される「モテ系」「かわいい系」「愛され系」で、05年頃「エビちゃんもえちゃん」ブームが起きる。はずれのない無難な格好、先輩や上司や男性から受けがよく、女友達の中では悪目立ちしないファッションだ。そこから更に自分志向のリラックス系が浮上し、06年からは身体を隠すゆったりチュニックにレギンスが街に溢れ出し、最近ではどこかクセのあるAライン気味のゆるいレトロなワンピースにタイツとぺたんこ靴の「森ガール」や迷子になりにくい派手な色のマウンテンパーカやダウンに山スカート、派手なタイツにトレッキングシューズといった「山ガール」など、身体を意識したセクシーとは対極と言えるものが話題となっている。

今韓流セクシーが受けているのは、その反動だろう。セクシーさというのは一種の刺激である。やり過ぎセクシーには拒絶反応を起こすが、身体や性を意識しないファッションが蔓延したら、刺激を求めたくなるものである。一度等身大の自分達に向いた美意識は80年代のような、自分達からかけ離れた欧米系の外見には無理を感じる。同じアジア系が受け入れやすい。兵役のある韓国でジムで鍛えたのとは違うどこかワイルドな身体の魅力をやりすぎでなくセクシーに見せる。キリッとストイックなスーツ姿が崩れるセクシーだったり、かわいいや溌剌といった身近なイメージの中にセクシーさを取り入れるなど、セクシーのさじ加減が良いものが受けているのだ。

今の時代、自分が心地良いといった自分視点は引き続き重要ではあるが、これからはもう少し異性を刺激する身体やセクシーさの魅力というものが再認識されてくるのではないだろうか。どのようなセクシー表現が出てくるのか注目していきたいと思う。

ちょっと頑張らないといけないかもしれないが、見せられる身体を手に入れて、そろそろチュニックにレギンスは脱ぎ捨てよう!って、もったいないから部屋着にしよう!
さあ、これからホットヨガに行って来ようっと。

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